東京都高等学校体育連盟会長 小髙 潤子(こだか じゅんこ)
体育・スポーツ活動の振興と高校生の健全な育成を図ることを目的に発足した本連盟は、これまで77年の歴史を刻んできました。現在、42専門部及び研究部、400を超える加盟校数など、全国でも類を見ない大規模な組織としてスポーツ振興に寄与しています。この長い歴史の中で、高等学校における運動・スポーツの課題、特に、運動系部活動の在り方が教員の働き方改革の観点からも、我々部活動関係者へ厳しく問われています。このように日本の学校教育の変遷と共に部活動への見方が変わり続ける中、本連盟主催等の各事業が無事に開催できているのは、これもひとえに、日々、部活動指導に当たる顧問の先生方の御尽力の賜物であると確信しています。この書面をお借りしまして、あらためて感謝申し上げます。
さて、既に部活動改革に伴う学習指導要領解説の見直しについての議論が始まる中、高校生のスポーツ活動は、若者の健全育成に大きく資するものであり、過去も未来も変わってはいません。勝敗に留まらず、仲間との絆や精神力の向上を通じて我々社会に「夢」や「希望」を与え、観る人に「勇気」や「感動」をもたらしています。 会長として、どのような時代になろうとも、この高校生の時期に、同じ目標に向かって切磋琢磨する生涯の友と出会い、部活動で培った力や精神力を、これからの人生における生きる力として発揮することを期待しております。
また、世界に目を向けてみると、国籍や文化、宗教などの多様性を認め合う、国境を越えた平和を目的とする国際的な大会やスポーツイベントが数多く開催されており、公平なスポーツで競い合うことを通して互いへの理解を深め、平和な社会の実現に貢献しています。 しかし一方では、紛争や内戦が激化している国や地域もあり、平和の祭典と称されるオリンピック・パラリンピックでさえも、戦禍での開催となったことは記憶に新しいことです。 これからの現状を踏まえると、スポーツで新しい未来を創るためには、次世代を担う高校生の皆さんが、心身の健全育成のみならず、人類社会が直面するグローバルな課題解決の貢献に向けた原動力になることを期待しています。
結びに、「体罰等の根絶」「学校部活動等の事故防止等」「少子化による部活動人口の減少」等の課題が山積する中で、本連盟は、今後もその活動、運営、実績等これまで築き上げたノウハウを継続し、発展させていくことになります。その責務を重く受け止めるとともに、皆様のより一層の御理解と御支援をお願いいたします。 今後とも、各加盟校をはじめ、各専門部、東京都教育委員会及び関係機関など多くの皆様のご理解とご協力を賜りながら、高校生の体育・スポーツ活動の充実・発展と健全育成に努めてまいります。