平成22年度東京都高等学校総合体育大会開会式挨拶
都庁第一庁舎大会議場
本日、ここに、平成22年度 東京都高等学校 総合体育大会の開会式を挙行いたしましたところ、東京都教育委員会より教育庁指導部高等学校教育指導課長、宮本久也(ひさや)様はじめ多くの関係の皆様のご臨席を賜り、誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
さて、選手の皆さん、まもなく競技が開始されますが、この大会は、多くの種目が全国高校総体の予選を兼ねて行われます。皆さんも東京都代表を目指し、勝利を目標に試合に臨むことと思います。本日は、大会に臨むに当たって、心がけて欲しいことについて話したいと思います、東京都の大会は、参加校、参加人数も多く、競技力も非常に高いレベルで行なわれていますが、最近は、競技力のみならずマナーの面でも向上しているように思います。
私は、ここ数年、柔道競技にかかわって、大会を見てきましたが、嬉しい場面を数多く見ることができました。ほんの一例ですが、柔道競技の会場では、トイレで、自分が用を足した後、トイレ用スリッパを次の人が履きやすいように、生徒・教員のほとんどが向きをかえてそろえています。一見なんともないことですが、自分だけよければよいというのではなく、次の人への心遣い、他を思いやる心の表れであり、私は、素晴らしいことだと思います。
このような指導をされている先生方に敬服するとともに、生徒諸君がこれに応えていることが素晴らしいと思います。このようなことは、どの競技種目でも行なわれていることと思います。単に競技で強いことのみを求めるのではなく、人間としての生きかたをスポーツを通して学ぶという姿勢を貫いて行動している点で、嬉しい限りです。
東京は、競技力も高いだけに注目されます。ぜひこのような競技以外のところにも気に留め、「高校生のスポーツのありかた」を東京から日本全国、そして世界に発信していくという気概をもって大会にも臨んで欲しいと思います。
「他を思いやる」ということでは、先日、東京都の教育委員でもある、内舘真紀子さんが次のようにお話をしておりました。最近は「自然体教育」の弊害がスポーツの世界にも現れてきているのではないか、「自然体教育」とは、自然に自分を表現しなさいという教育、つまり、悲しい時は泣き、嬉しい時にはうれしさを表現するなど、自分の思いのままに素直に表現するというものです。このこと自体が悪いと言うことではないが、これが過ぎると自己中心的な考えが強くなり、他を思いやる心が失われてくるのではないかと。すなわち、競技でいえば、勝ったものが、負けた相手の気持ちに関係なく自分だけ喜びを表現する。そのような場面をスポーツの世界で多く見られるようになってきたことが心配だと話しされ、日本には昔から惻隠(そくいん)の情という言葉があり、本来は、かわいそうに思うという意味ですが、その奥には、相手を思いやる気持ちがある。勝ったものが、負けたものの気持ちを思いやる気持ちを持つことが大切なのではないかと。つまり、勝ったときに、ただ素直に自然に喜びを表現するのではなく、負けた相手の気持ちも考えた上での、行動があるのではないかと言うのです。
このことは、私たち、高校生のスポーツを考える時に重要なことだと思います。
健全なありかたを皆さんで考えて、実践し、スポーツで頑張っている人は違う、社会人としても素晴らしいと言われるようにしていきたいものです。 また、皆さんが、大会に参加できるのは、皆さんのご家族、ご指導していただいている先生方をはじめ、大会の役員、補助役員の皆さんの支えと協力ではじめてできるのです。感謝いたしましょう。
選手の皆さんは、「他を思いやる気持ち」と「感謝の気持ち」をもって大会に臨んで欲しいと思います。 むすびになりますが、本大会の開催に御尽力いただきました東京都教育委員会、並びに、日頃から、生徒の指導や、大会運営にご尽力をいただいております顧問や各専門部役員の先生方はじめ、関係の皆様に感謝申し上げ、挨拶とします。
平成22年4月17日
東京都高等学校体育連盟会長 佐藤 光一
